ヘイトフル.エイト2016年03月13日

「クーパー家の晩餐会」は台詞が多くてやかましい映画だったと書いた直後である。今度はタランティーノ監督だ。台詞が多く、本編とは関係のなさそうな会話が延々と続き、普通の映画の平均よりも上映時間が長い。
この作品は2時間48分だが、普通の作家が撮ったなら2時間以内で収まりそうな内容が50分余計なのは、無駄な会話が多いからに他ならない。しかし無駄話がこの監督の醍醐味なのである。
たとえば「クーパー家」は1時間47分だが、タランティーノは家族愛の話など撮らないけれど仮定の話としてもし撮ったとしたならば2時間47分になるであろう。祖父役のジョン.グッドマンが「聖しこの夜」のウンチクを10分くらいしゃべっただろうし、曾祖父役のアラン.アーキンがウェイトレスのアマンダ.セルライトに「街の灯」のチャップリンについての講釈を述べる場面は20分くらいのチャプターになってしまったに相違ない。
ここでも雪は需要な役割を果たしている。吹雪の中で悪人たちが閉じ込められたロッジが舞台で、密室の中で殺人が起こるのだ。手段は毒殺なのだが、ここに至るまで、そうとうな時間を要するのだ。しかし、後は怒涛の展開が始まり、硝煙と血飛沫の連続で、一気に結末へと突っ走る。突っ走るけれど、俳優たちは、相変わらず喋り捲っている。
やかましい映画である。
リンカーン大統領の手紙は本筋には関係ないが、冒頭からしつこく取り上げられており、余韻を残して終わる。
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