ボーダーライン2016年04月13日

米国とメキシコ国境付近における麻薬組織との戦争を描いたクライムサスペンス。
海に囲まれた国で生まれた日本人には、にわかに想像しにくい陸続きの国境線。小さな島国では絶対に見られない、大陸の地平線まで延々と続く荒野を映した空撮映像に圧倒されるが、これが全部国境なのだ。
大統領候補がここに壁を建造すると発言して、物議をかもしているらしいが、映像で明快に見せられてしまうと、不法入国者の封殺には必要だと考える思考回路は正常なもののように思わされるのであった。
海を渡らねば侵入できない日本は、天然の外濠で守られているのである。米国メキシコ間は歩いて越えられる、そこが決定的に違う。必要とあらばトンネルでも掘れるのだ。
冒頭、犯罪人の身元を引き渡された米国チームは数台の車に便乗して、国境線を通過しようとするが、その場所は高速道路の料金所となんら変わらない佇まいで、しかも渋滞しており、一般人の乗る自家用車でうめつくされているのだ。身内を取り戻そうとする麻薬組織はこの中に紛れ込んでいる。全身の警戒センサーを針先のごとく研ぎ澄ませた特殊チームは、飢えた動物のように敏感に反応し、襲撃される前の段階で敵を殲滅してしまう。
映画全編において、いつ誰に撃たれるかわからないような緊張感が漂っており、強烈なサスペンスが続く。
正義感の強いFBIの女性捜査官とその相棒に対し、捜査に同行する外国人の男には復讐心という凄みがあり、その鉄のような執念が敵のボスを追い詰めるのだ。
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