追憶の森2016年05月05日

原題は「the sea of trees」。「樹海」の英語だと思われる。
米国から飛行機に乗って来日し、新幹線で静岡県に移動し、富士の樹海で自殺しようとしている米国人(マシュー.マコノヒー)の話である。森の中奥深くに入って地面に座り込み、持参したペットボトルの水で薬品を胃袋の中に流し込んでいると、目の前に道に迷って助けを求める男(渡辺謙)の姿が現れる。成り行きで彼と樹海の中を彷徨うことになるのである。
会話の中で死んだ妻(ナオミ.ワッツ)との思い出が語られ、必ずしも幸せではなかった過去が明らかになるが、主人公が彼女のことを想う気持ちは伝わって来るのだ。
死に場所に選んだのが日本の富士山麓。日本人ならともかく、太平洋を挟んだ海外から引き寄せられるというのは現実にあり得るのだろうか。
森の中の環境は人間にとって過酷で、たった一晩でも彼らは死にそうになる。

モヒカン故郷に帰る2016年05月07日

モヒカンの故郷は瀬戸内海の島だ。私も瀬戸内海に面した小さな町で高校卒業まで暮らしたので、大小さまざまな島が点在する海の景観は懐かしく感じられた。
彼女の妊娠をきっかけに東京から故郷に帰った彼を待っているのは両親と弟である。父親は矢沢永吉に心酔しており、自分が指導している中学校のブラスバンドには「アイ.ラブ.ユー,OK」を演奏させている。話の進行とともに病気が判明し、入院するが自宅療養が決まった帰り道、車の中で口ずさむのは「止まらない〜Ha~Ha」だ。
この映画は息子が病気の父親を看取るまでの行動を追っかけている。
最後には彼女とともに船に乗って島を去っていく。東京に帰るのだろう。
世の中では自分が生まれた土地でずっと暮らす人と、故郷を離れて暮らす人との割合はどのくらいなのだろうか。
田舎から都会に行く人が多いだろうが、その反対もあるだろうし、都会から別の都会、田舎から別の田舎、というパターンもあるだろう。
私の場合はこの映画の「故郷」が瀬戸内海であったことが、こころに響いた。矢沢永吉の音楽(二曲だけだったが)も、広島カープ(贔屓ではないが)も、こころに響いた。

シネリーブル2016年05月09日

先日、鑑賞した「モヒカン故郷に帰る」は劇場での公開期間が短かったようだ。黄金週間中、他の用事で映画館に出かけられなかったのだが、私が普段通っている郊外立地のシネコンでは、その間に上映が終わってしまっていた。見逃してしまったことを悔やんでいたら、梅田のシネリーブルで、まだやっているのを知った。
映画館には車でのんびりと出かけるのが好みで、都心の劇場に足を運ぶ機会は比較的少ない。見たい作品があるときだけだ。で、今回久しぶりに地下鉄に乗って出かけた。シネリーブルは去年の「ナイトクローラー」以来だった。ここは米国産以外の海外作品も充実していて、なかなか楽しい所である。グランフロント北側のビルの中にあって、となりには広大な空き地が。これから先、何が建つのだろうか。隅っこに取り残されたような雑居ビルが見える。

レヴェナント(蘇えりし者)2016年05月10日

全編にわたって自然光のみで撮影されたという自然の風景の美しさが素晴らしいが、なんと言っても主人公が熊に襲われる場面の迫力が出色で、これだけでも見る価値があるのではなかろうか。
いったいどうやって撮影したのだろうか。まさか本当に熊と人間を闘わせたわけではあるまいが。
映画の中身の大半は、瀕死の重傷をおったヒュー.グラスが極寒の荒野を這うように進み続け、途中で何度も死線を彷徨う姿を延々と追っかけてゆくというものだ。
究極のサバイバル、目的は復讐。シンプルで意表をつく展開はない。これだけで2時間半。
体力と精神力のないものは生き残れない。

ちはやふる 下の句2016年05月13日

友情、努力、勝利。原作は少女漫画だと聞いたけど、これは少年ジャンプの法則だ。正体はスポ根映画だった。
だから男でも楽しめる。
「上の句」では地方大会で優勝した。なので今度は全国大会の話である。カルタ会の甲子園と言われる近江神宮が舞台だ。
原作者はライバルとして「どSキャラ」が好きなのか、北央学園の須藤に続いて、「下」では「クイーン」が登場する。美人で傲慢で、謎のキャラクターグッズに執心し、サウスポーで関西弁だ。この女を倒すために主人公は燃え上がる。
監督は季節感を大事にする人のようで、前回は桜の花びらが効果的に使われていたが、今回は風鈴の音と蝉の声が聞こえてきて、夏の風情を感じ取ることができる。そうだ、部活は夏が盛り上がるのだ。
日本語なのだが文脈が支離滅裂で歌詞がまったく頭に入ってこないperfumeの主題歌は、いい曲だ。
簡単に歌えないのが傷だが。
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