家族の肖像2017年03月21日

公開された当時、映画雑誌の記事の中で評論家たちの評判が非常に高かったことを覚えている。
ローマの古い高級住宅の中で繰り広げられる室内劇で、主な登場人物は主人である老教授と家政婦、部屋に間借をする伯爵夫人とその家族、そして夫人の愛人の若い男、である。
教授は本と絵画と音楽に囲まれて静かに暮らしている人間で、他人との交流は望んでいないのだが、強引に口説かれて、伯爵夫人一家を階上の部屋に住まわせてしまう。苦い思いで彼等と接する教授だが、愛人の若い男とは音楽や絵画の嗜好に関してウマが合うことがわかってしまう。孤独な老人がコンラッドという若い男に魅入られて、自分の息子のような感情を抱くに至るのだ。
この映画に登場する、貴族の末裔とでも言えばいいのか、伯爵夫人のような人種は、日本人の私には理解の範疇を超えている。いきなり他人の家に侵入して初対面の家政婦を呼び出し、顎の先で指図ができるという感覚は、中世の世の中ならばいざ知らず、この映画では1970年代の話なのだ。皆白人です。肌の色から来る人種差別ではありません。家柄、格式、それとも他にあるのか、何から来るものなのか、わかりません。
評判が高い映画ですが、面白いと思えるかどうかは、かなりの高い確率で人を選ぶと言えるのではないでしょうか。
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