地獄の黙示録(ファイナルカット)2020年03月10日

この映画のファンなので、公開されれば観てしまう私である。まるで「ブレードランナー」のごとく次の新しいバージョンが出てきますな。
148分のオリジナルを鑑賞したのが二年前だった。その後遅ればせながら原案となったコンラッドの「闇の奥」(中野好夫訳 岩波文庫)を読んだのです。有名な小説だからご存知の方も多いと思いますが、百年以上前のアフリカが舞台の作品で、奥地から大量の象牙を送ってくるという代理人の噂を聞いたマーロウという船乗りが、クルツ(Kurtz)という名のその男に会うために蒸気船に乗ってコンゴ川を遡上していく話である。西欧人にとってはまだ未開の地であったアフリカの奥地に深く潜入していく感覚。矢が降り出し槍が飛んでくる描写とか、クルツの崇拝者とか、生首とか、映画には他にも驚くほどに原作に忠実な場面があり、あぁそうだったのか、と。
実際にジャングルを焼き払い、牛を殺しているこの作品、現代ではもう撮影できないだろう。私たちが簡単にクジラを食えなくなったのと同じである。
今日、鑑賞したのは182分でした。思ったのは、初公開時の作品が渾身の編集だったのでは、ということでした。追加された場面の大半はフランス人の営むゴム農園のシークエンスです。約25分あります。尺としてはキルゴア中佐のエピソードに匹敵する重要な話のはずでしたが、バッサリと切られていたのです。

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