緊急事態宣言2020年05月06日

連休明けの五月六日までだった緊急事態の期限が五月三十一日まで延長されるようだ。
私自身も四月三十日をもって大阪市内に出ることがなくなった。このところ、家に帰ったらラーメン鉢にお湯をためて除菌用のチャーミーで不織布マスクを洗っています。
地球規模で発生している今回の災厄は、一年先の未来すら予測ができなくなってしまった。来年、本当にオリンピックはあるのだろうか。五月になり天気が良くて暖かく、地上を走る電車の窓からは爽やかな風が吹き込んでくる。中は空いていて、六人がけの座席に私は一人で座っている。
列車の進行方向は市街地とは逆向きで、広々とした畑や住宅地の風景が見える。一年中でもっとも快適な季節であるはずが、世の中に蔓延しているのはコロナウイルスの恐怖である。合言葉は「ステイ.ホーム」家にいろということだ。
このところ仕事が早く済むようになったので、今日は商店街の定食屋に行った。学生の頃によく通った店で、転勤で長く大阪を離れた時期もあり、二十九年ぶりだった。カウンター席の隅に座っていつもの焼肉定食を注文した。皿に盛ったキャベツともやし炒めの上に豚の焼肉がてんこ盛り、茶碗ではなく皿で出される飯、スープにキムチ。変わらない。店主の親父さんも変わっていなかった。別に挨拶はしなかったが、帰り際、親父さんの「おおきに」の声が心なしか大きような気もした。

チキン南蛮弁当2020年05月10日

近所におしゃれなダイニングバーがある。おしゃれなオーナーがおしゃれな惣菜を作っておしゃれな酒を出しおしゃれな従業員がおしゃれなテーブルに運んでおしゃれな椅子に座ったおしゃれな客たちがおしゃれに飲んで食らう、そんなおしゃれな店である。しかも旨い(らしい)。
私のようなしがないおっさんが通りがかりに見ていても店づくりから何からとことんこだわって営業しているのが伝わってくるようなとんがった店である。
コロナウイルス緊急事態のあおりを受けて自主閉店しておられるのだが、土日限定でテイクアウトの弁当を売り出すというレアなイベントを企画しているという。毎日通勤で朝夕に前を通るので、従業員の皆さんが準備しているのがわかってしまうわけだ。
私には普段ならば絶対に行けないような雰囲気の場所なのだが、昼時の持ち帰り弁当ならば、一人で買いに行っても違和感が少なそうである。人気があって午前十一時の売りだし後、三十分でなくなるそうである。今日、午前に行ってきました。買えました、チキン南蛮弁当(600円)。
刻んだゆで卵を練りこんだタルタルソースに檸檬を添えた本場宮崎の鳥。円筒形ではない平たいマカロニとマヨネーズと青豆と薄切りの生ハムのアンサンブル。もやしと人参のナムル。
飯は冷えて硬かったけどレンジで温めたから問題なかったよ。うまかったぜ。
俺はお宅に飲みに行けるようなおしゃれな人間ではないから、昼の弁当、またやってくれ。

風を待つ2020年05月18日

身内が所用で家を空けている。留守番を兼ねて帰省してきた。二泊三日の日程だったが、二泊めからは完全に一人になり、飼い犬と過ごした。実家の中で一人になって夜を明かした経験はこれまでの人生の中で初めてかもしれない。台所のテーブルで作り置きの晩飯をレンジで温めて食いながら、酒を飲みつつ、犬のタロウに薩摩芋のオヤツをあげて、また酒を飲み。外は雨だったが、静かな晩だった。
翌日は風の強い五月晴れ。雨戸を開けて、玄関の扉を開け、家の中に風を呼び込み、涼しい居間でタロウと一人と一匹。本を読んでSTUの音楽を聞き、夕暮れまでの時間を。

休日2020年05月23日

今日は朝から掃除をすることに。玄関と押入れとバルコニーを整理する。大量の不要物を捨てて、家の中を広くすることが目的である。丸一日かけるつもりなのだ。午前中、玄関と押入れから過去の遺物を引っ張り出し、並行して米を研いで飯を炊く。午後一時、白米に納豆、乾燥わかめと刻み葱を入れたインスタントのしじみ味噌汁で昼食。午後、洗濯とゴミ出し、布団干し、土間と居間とバルコニーの掃除がけ。ながらだが、久しぶりにシステムコンポの電源を入れ、FM放送を聞く。チャンネルはKISS FM 神戸。学生時代から使っているステレオの中で生き残っているのはスピーカー(Pioneer S-X4G)だけだが、現代のものに比べてサイズが巨大であるがゆえ、低音が響いて聴き心地が良いのである(当私比)。番組は「STU48の瀬戸内の胸の内」「福山雅治 福のラジオ」「リリーフランキー スナックラジオ」その他。東京がキー局の全国ネットの放送も多いけど、やっぱりラジオで楽しいのは地元の番組なのかな。昭和五十九年の秋の茶会の茶券が大量に出てきた(捨てた)。

(テレビにて)いぬ2020年05月27日

タイトルだけでは何の映画なのかさっぱりわからない。番組解説でわかったのは1963年のフランス映画でジャン-ポール.ベルモンド主演の犯罪もの(フレンチ.ノワール)だということのみ。
コロナウイルスでの外出自粛の風潮がなければ見ていなかったもしれない。
始まってみるとモノクロ作品で、トレンチコートにソフト帽といういでたちの男が歩いている暗い映像が延々と続く。本当に昔のギャング映画のイメージそのまんまである。
原題は仏語で「帽子」を意味するスラングだそうだが、警察や裏社会では「密告者」の隠語で使われるらしい。日本では警察の「犬」という意味で翻訳されたのだろう。
初見のはずなのだが、驚いたのはラストシーンを見たことがあるということ。子供の頃に「映画の名場面特集」のような番組があり、強く印象付けられて記憶に残っていたのだ。あの時の俳優はベルモンドだったわけだ。四十年が経過してその作品名と役者の名前が判明したのだった。
頭の中に埋もれていた古い思い出が掘り起こされ太陽の光が当たったような体験だった。
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