男はつらいよ 幸福の青い鳥(4Kデジタル修復版)2020年10月09日

寅さん三十一本目。第三十七作、昭和六十一年の公開。
シリーズ開始以来、盆と正月には必ず製作されていた寅さんが、初めて夏の公開を飛ばし、前作から一年のインターバルを経て登場。この頃に至るとマンネリ化が進み、作者も創作に苦しんだのだろうか(想像でしかありませんが)
これまでのシリーズの中で時々登場していた旅芸人一座の大空小百合が今回のマドンナです。座長はすでに亡くなっていたことが判明し、せめて位牌に線香でもあげようと、寅さんは座長の家を訪ねるのである。そこにバイクに乗って颯爽と現れるのが大人に成長した大空小百合(志穂美悦子)なのでした。これまで同じ役を演じてきた岡本茉利とはかけ離れた容姿なので、見る側としては同一人物だとは全く思えません。故に話の流れに違和感があり、素直に感情移入できないのでした。

九州での再会後、上京してきた大空小百合(本名)島崎美保は、とらやの紹介で柴又の中華料理屋で働くことになるのでした。今回の寅さんはマドンナに恋することはない。反対にいい結婚相手を見つけてやろうと、区役所の結婚相談所まで訪ねて行ったりするのである。当たり前の話だが、こちらから頼んだ場合は別として、人から自分の結婚相手を探してもらっても、おおむね嬉しいとは思わないものだ。むしろ余計なお世話である。このような寅さんのありがた迷惑な行為は、みな眉をひそめるのが普通だと思われるのですが、暖かく見守るのが山田洋次監督なのです。
当然ながら、美保さんは自分できちんと恋の相手を見つけるのです。

昭和六十一年の夏、「男はつらいよ」の代わりに公開された松竹映画は「キネマの天地」で、ヒロインの有森也実が、当作「幸福の青い鳥」のラストシーンに登場します。なんでこんなこと書くかといえばわたしゃ有森也実がわりと好きだからです。
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