砂の器2021年01月17日

日本映画専門チャンネルで視聴。
舞台は昭和四十六年の日本で、映画の製作は昭和四十九年。公開時においてほぼリアルタイムの社会情勢であったことが想像される。
東京で起こった殺人事件の捜査の過程で主人公の警部補は鉄道に乗って日本中を移動する。交通網が今ほど整備されていないから時間がかかる。東京から、秋田、出雲、伊勢、石川、大阪。画面に当時の風景が克明に映し出される。捜査関係者たちとの面談後、追加の質問等があった時の通信手段は固定電話か郵便である。刑事が自分の足を使ってコツコツと犯人に迫っていく道程が前半部。後半は警部補によって語られる被害者と犯人の関係、そしてその動機。
有名なクライマックスは、音楽会と捜査会議と過去の映像が同時進行する。故郷を捨てた親子二人の旅、始めは白かったお遍路の装束が過酷な運命に晒されて乞食のような風体に擦り切れていく。その姿が強烈な印象を残し、その後製作されたテレビドラマにも影響を与えたと思われます。犯罪の動機としてハンセン氏病があり、扱いの難しいテーマだったでしょう。これ以降の映像化作品では設定が変わっています。若い刑事が物証を発見する件が唐突で説得力に欠けるようですが、この映画は名作だと思います。

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