ベルファスト2022年04月12日

1969年のアイルランド、ベルファスト。少年バディは9才。偶然だが、昨日見た「とんび」の少年旭は昭和37年生まれなので、1969年の時点では7才のはずである。二人はほぼ同年代なのだ。ベルファストと備後は海に面した港町である点、そして住民たちの気質に共通点があるような気がした。

冒頭、長屋の前で母ちゃんが晩御飯できたので、外で遊んでいる息子の名前を叫んでいる「バディーーーー!」。路地ではしゃぐ子供たちの声の方が大きく、母ちゃんの叫びはかき消されてしまうようだ。負けじと声を張り上げる母ちゃん「バディーーーーーーーーーーーーー!」
この映画は終始、バディの視線で語られており、少年のベルファストにおける幸せな日々が綴られている。私が印象深かったのは映画とテレビである。世界地図で調べるとベルファストはロンドンのあるグレートブリテン島ではなく、アイルランド島に位置しており、ヨーロッパの北西の果てみたいな場所であるようだ。ここで少年たちが見ているのがアメリカの西部劇だったり宇宙大作戦だったりするのだ。ジョン.ウェインが出てくる。ゲイリー,クーパーとグレース.ケリーが共演している映画は「真昼の決闘」だと思う。テレビ画面ではエンタープライズ号が飛んでいて例のテーマ曲が流れ、ウィリアム.シャトナーとレナード.ニモイの名前が見える。
アポロ11号が月面に着陸したニュースが話題で、バディが好きな女の子と共同研究するネタになっている。日本でいうと昭和44年のことだが、アポロのニュースは親といっしょに子供の頃の私も見てました。

キリスト教には「汝の隣人を愛せよ」という教えがあると聞きますが、プロテスタントとカトリックの対立という、この映画では重要な歴史的背景が、日本人の私には理解ができない。プロテスタントの人々が憎しみを込めてこの地から出ていけと、カトリックの人々の町を破壊しているのである。そこに愛はまったく感じられない。あなた方は同じ神様を崇拝しているのではないのですか、どこをどのように解釈したら、そのような暴力的行為に至るのか。

ベルファストを離れたくない母ちゃんと、子供たち。出稼ぎをしていることで外の世界を知っている父ちゃんだけが、この地に残ることの危険性を理解し、家族全員でロンドン近郊に引っ越すことを望んでいる。
「振り返らずに行け」最後のばあちゃんの顔がいい。

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