男はつらいよ 寅次郎の青春(4Kデジタル修復版)2020年11月15日

寅さん三十八本目。第四十五作、平成四年の公開。
寅さんと満男W主演の四本目、及川泉(後藤久美子)も連続出演四本目。
宮崎の鬼の洗濯板で始まり、画面は由津の運河のそばに移動する。所持金がなくピーピーの寅さんが床屋の蝶子さん(風吹ジュン)に食堂で声をかける。きっかけは些細なことなのですが、散髪してもらったのち雨が降り出し、束の間の雨宿りのつもりが、そのまま蝶子さんと弟の竜介(永瀬正敏)の住む住居兼店舗に長居することになってしまう。
同じ頃、母親を名古屋に残して東京のレコード店に就職した及川泉ちゃん。一人暮らしを始めた彼女は満男に頻繁に会い、休日には江戸川沿いにある諏訪家を訪問するようにもなっていた。有給休暇を利用して友人の結婚式に出席するために宮崎にまでやって来た泉ちゃん、観光地、飫肥城の石段で寅さんと出会う。思わず声をかける泉であったが寅さんの後ろから蝶子さんがやって来たのに気がつくと立ち止まって「お邪魔かしら」と引き返そうとします。追いかけようとした寅さんは階段で転び「痛い痛い」と大騒ぎ。救急車を呼び出すような事態になるのだった。
病院からくるまやに電話を入れる泉ちゃんだったが、怪我の様子がわからないくるまやの人々は気をもむのだった。伯父の心配よりも泉に会いたい一心で満男が代表して宮崎まで飛ぶことになる。
待ち合わせのバス停に現れたのは竜介運転の車で迎えに来た泉。運転席と助手席で親しそうに話す二人を後部席で眺める満男は嫉妬するのだが、竜介には別にちゃんと婚約者がいるのだ。
その日は地元(由津)のお祭りだということもあり、満男と泉は泊まって見物して行くことにする。翌朝、浜辺で戯れる満男と泉の姿を眺めながら土手に佇む寅さんと蝶子さんは実にいい雰囲気である。ところが若い二人と一緒に柴又に帰るとお暇を告げる寅さんの意外な言葉に蝶子さんは思わず怒り出すのだった。例によってマドンナが好意を持って寄ってくると逃げ出す性を発揮する男なのだ。寅さんの恋物語はここで終了、三人は帰る。
松葉杖をつきながらくるまやに戻って来た寅さん、心配して集まってくれた商店街の人たちに真面目に挨拶する。軽口ばかり叩いている姿を見慣れている地元の人々には珍しい光景だったに違いない。
ここから泉の母親、礼子さんが登場します。観客の私たちは唐突に何事かと思うのですが、どうやら礼子さんは心臓病を患っているらしいことがわかって来ます。手術しなければいけないのですが、頼れる相手が泉しかいない礼子さん、付き添って欲しいと電話をかけてくるのです。仕事があるから帰れないと謝る泉ちゃんに向かって怒り出す礼子さん。恵まれている満男とは対照的な家庭環境が改めて見えて来ます。泉は結局、仕事を辞めて名古屋に帰るという選択をします。母親のことをほっておけないのです。「寅次郎の青春」とありますが、これは満男の青春の話だったのです。東京駅の新幹線ホームで別れる二人。ここで四年も続いた及川泉との恋物語は一旦終了する。
ラスト近く、くるまやを旅立つ寅さん、その背中を見ながら、さくらに向かって見送りに行かないのかと尋ねる博さんに「満男が話したそうだから」と答える優しい母親、さくら。柴又駅の改札で満男に励ましの声をかけて京成電車に乗って去っていく寅さん、電車を見送る満男の姿。

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_ じゅうのblog - 2022/03/30 22:02

       "男はつらいよ 寅次郎の青春"
[男はつらいよ 寅次郎の青春]

先日、BSテレ東で放映していた『男はつらいよ 寅次郎の青春』を観ました。

-----story-------------
「渥美清」主演『男はつらいよ』シリーズ45作目。
監督は「山田洋次」、マドンナは「風吹ジュン」が務めた。
出演は他に「倍賞千恵子」、「永瀬正敏」、「吉岡秀隆」、「後藤久美子」。
「御前様」役を長年演じた「笠智衆」の遺作である。
“愛しているなら態度で示せ!”をキャッチコピーに、宮崎県を舞台に「フーテンの寅」が巻き起こす騒動を描く。
同時上映は『釣りバカ日誌5』。

宮崎のとある町で理髪店を営む女性「蝶子」に散髪してもらったった「寅治郎」だが、金がなくなり「蝶子」の家に泊めてもらうことに。
翌日、地元の観光地で偶然にも「泉」に出会う。
驚く「泉」だが、気を利かせて立ち去ろうとしたところ、「寅次郎」は「泉」を追いかけようとして転んでしまった。
慌てた「泉」はとらやへ連絡を入れると、「満男」が宮崎まで駆け付けてくる。
「満男」は「蝶子」の弟「竜介」と仲良くしている「泉」を見てヤキモチを焼くのだが…。
「寅」と「蝶子」、「泉」と「満男」。
2組の恋の行方はいかに!?
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1992年(平成4年)に公開されたシリーズ第45作… 「土曜は寅さん!4Kでらっくす」で毎週、シリーズ作品が観れると思うと愉しみですね。
[土曜は寅さん!4Kでらっくす]


「寅さん」の旅先での夢は明治時代の日本で、博士の「車寅」が『ハムレット』の翻訳をしている、、、

そこへ「満男」と「泉」の若い二人が駆け落ちしてくる… 追っ手が来るが、「車寅」は文武両道とばかり撃退する。

宮崎県油津、理髪店の女主人「蝶子」に、顔を当たってもらった「寅さん」は、雨宿りしているうちに、彼女の家に逗留することになる… 同じ頃、高校の同級生の婚礼に参列するために宮崎を訪れた「及川泉」が、偶然出会った「寅さん」に声をかけた瞬間、寅さんが足をくじいてしまう、、、
[男はつらいよ 寅次郎の青春]

その報せを聞いた「満男」は、「泉」に逢いたいがため、勇んで宮崎へ… ところが「泉」と一緒に迎えに来たのが、「蝶子」の弟「竜介」だから面白くない、、、
[男はつらいよ 寅次郎の青春]

しかも「寅さん」の怪我は大したことなくお祭りを楽しんだ二人は帰ろうと「寅さん」を促す… 「寅さん」もその気になるが、それを聞いた「蝶子」は怒り出す……。
[男はつらいよ 寅次郎の青春]


4作連続で「満男」と「泉」の物語が主軸に据えられていましたね… 愚かな師「寅さん」と真面目な弟子「満男」のおかしくも哀しい師弟愛が描かれた作品でした、、、
[男はつらいよ 寅次郎の青春]

「満男」と「泉」の関係も、これで一区切りなのかもな… ちなみに、本作品はシリーズ第1作から「御前様」役を演じた「笠智衆」の遺作となった作品です。
[男はつらいよ 寅次郎の青春]


-----staff/cast-------------
監督:山田洋次
脚本:山田洋次
   朝間義隆
原作:山田洋次
製作:中川滋弘
プロデューサー:島津清
        深澤宏
撮影:高羽哲夫
   花田三史
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:鈴木功
照明:青木好文
編集:石井巌
助監督:阿部勉
スチール:金田正
出演:
 渥美清 車寅次郎
 倍賞千恵子 さくら
 風吹ジュン 蝶子
 永瀬正敏 竜介
 下絛正巳 竜造
 三崎千恵子 つね
 太宰久雄 社長
 佐藤蛾次郎 源公
 関敬六 ポンシュウ
 笠智衆 御前様
 前田吟 博
 夏木マリ 礼子
 吉岡秀隆 満男
 後藤久美子 泉







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