金城ふ頭2022年11月03日

名古屋行き特急ひのとり。車内で食べた淡路屋の駅弁「秋のあじわい」はうまかった。炊き込みご飯の幕の内で、栗や焼き鮭などの秋を感じさせるおかずに、落ち葉の切り込みを入れた野菜が盛り付けてあり、味だけではなく、見た目もよかった。手がこんでいるので、コンビニの物より値段が高いのもわかる。
金城ふ頭は四年ぶりである。前回はコロナ禍以前、しかも真夏だった。
あれから四年四ヶ月、今回は晩秋の十一月だが、季節のせいだけではなく新型ウイルスの蔓延で、以前とは世界がまったく変わってしまった。
帰りの電車でも駅弁を食おうと思ったけど、ホームの売店では売り切れだった。仕方がないので、ビールとピーナツを買った。

犯罪都市 THE ROUNDUP2022年11月08日

韓国の刑事が逃亡犯を引き取るためにベトナムに出張するという冒頭部。半分旅行気分でホーチミン市を訪れたのだが、現地で遭遇するのが身の毛もよだつような凶悪な犯罪者だった。金持ちの韓国人旅行者を誘拐して殺害し身代金を巻き上げるという手口で、すでに何人もの犠牲者が出ているのだった。自国民を守るという口実で、なんの権限もないはずの外国で勝手に捜査を始めるマ.ソクト刑事とチョン.イルマン班長。
前半はベトナム、後半は韓国を舞台にして映画は進行していきますが、初めから終わりまで、犯罪者に食らいつくタフな刑事の行動を追いかけていくという展開になっています。フレンチ.コネクションみたいだと思ってしまいました。壮絶な暴力描写がありまして鉈やナイフで切られたり刺されたりバッタバッタと人が死んでいきます。刃物を振り回す犯人にマ.ソクトは素手で立ち向かいます。重量級の柔道師範みたいな体格の上に拳闘選手のような機敏な動きができるゆえ、悪党には絶対に負けないのです。
カースタントなども迫力で、文句なく楽しめます。韓国映画ですが、美女はまったく出てきません。凶悪犯罪に真っ向から立ち向かう警察官たちの物語です。

土を喰らう十二カ月2022年11月14日

信州の山奥で一人暮らしをしている作家ツトムの話。一月から十二月まで、季節の移り変わりとともに映画が進行します。山や川、畑などで採れる旬の山菜や野菜、穀物などの収穫から始まり、皿に盛り付けて食すまで、その過程が丹念に描かれています。寺の小僧をやっていたツトムが子供の頃に身につけた精進料理の手順が映画の魅力になっています。もっとも、精進料理では肉は食いません。美味しそうに撮られているから勘違いしてしまいそうですが、本来、修行僧の食事であり、食が細くなってきた年配者ゆえに満足できるのかもしれません。恋人の真知子だってたまに来て食べているから旨いと思えるのかもしれませんが、自分が住んでいる東京にいるときには肉も魚も乳製品も何もかも全部食っているに違いない。
基本的に地方の老人たちの物語なので、この作品はある程度年をとった人間でないと楽しめないかもしれないと思いました。山奥の家で精進料理を食べながら一年を過ごすことをどう感じるか。観客は自分を含めて白髪頭の男女たちばかりでした。
主題歌は主演の沢田研二本人が歌っています。昔と容姿は変わっても歌声は変わりません。流石であります。

すずめの戸締り(ネタバレ注意)2022年11月17日

冒頭、主人公の鈴芽が出会う若者は、閉じ師と言われる仕事をしている。その使命は、人が住まなくなった、いわゆる廃墟と呼ばれている場所に現れる不思議な扉に鍵をかけるというものである。

扉の向こうから現れる災いとは、大きな地震のことを言い、その規模において震災に相当するものであるようだ。普通の女子高生であるはずの鈴芽には不思議な能力があり、一般人には見えない災いをもたらす巨大な影が見えるのだ。災厄を回避するための鍵となるのが1匹の猫で、閉じ師のイケメンに惚れてしまった女子高生が、恋心を抱えながら男とともに猫を追う。九州から日本を北上するロードムービーになっています。フェリー、電車、自動車、新幹線、いろんな乗り物を乗り継いで、宮崎、愛媛、神戸、そして東京へ。話の展開から東京でクライマックスを迎えるのだと思っていたら、その先がありました。闇の奧となる場所で行き着いたのは東北地方だった。そう、これは3.11の物語なのです。


新海監督の映画は「君の名は」から数えて三本目の鑑賞でした。共通しているのは大きな災害を扱っているということですね。隕石、豪雨、地震、津波、噴火、天災は恐ろしい。



窓辺にて2022年11月22日

初めから終わりまで、人の会話を聞いている映画。ほとんどの場面で人と人が一対一、つまりサシで話をしている。ラジオドラマとしてでも成立するのではないかと思ってしまった。十五分のラジオドラマ(十話分)だというのが私の感想です。会話の積み重ねで話の流れが見えてきて一本の筋書きが出来上がった、という感じ。なので、もしかしたら会話が苦手な人には苦痛かもしれません。
映像としては美男美女ばかりが登場し、服装のセンスもよく、店や室内の様子に清潔感があるうえに洒落ていて現代的。田端駅、神楽坂、などの具体的な地名が出てくるし、バイクは湘南ナンバーだったような気がするので、作品の舞台は東京か神奈川の都心に近いところなのだろう。先日鑑賞した土を喰らう十二カ月とはエラい違いであります。
グロテスクな愛憎劇になってもおかしくないような状況なのに、主人公たちの感情は乏しく冷たく、飄々としている。会話といえば、まるで酒場に行って控えめな相手と薄めまくった水割りを飲んでいるかのような印象です。見終わって考えるに、これは軽めの恋愛喜劇なのかな、と。
こういった作品は劇場でないとなかなか鑑賞する機会はないと思います。映画が好きな人向けと言えるでしょう。
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