空の大怪獣ラドン2022年12月28日

午前十時の映画祭(TOHOシネマ)
ゴジラの二年後、昭和三十一年の映画。特撮よりも、現実の映像、当時の炭鉱や坑夫たちの家族が住む長屋の様子、自動車や町並みなどが興味深かった。劇中に出てくる病院は、昔通った学校の木造式旧校舎を思い出させるような建物だった。
前半は阿蘇山周辺の炭鉱で起こる落盤事故と殺人事件が扱われておりまして、鉱山の町で繰り広げられる人間模様がひとつの見どころになっていました。やがて真相が解明します。日本刀で斬られたかのような深い切り傷の謎はメガヌロンという古代のトンボの幼虫によるものだったのです。
ラドンが登場するのは後半になってからです。超音速で空を飛ぶので衝撃波が発生し、近くの飛行機や地上にある建造物を破壊するという設定です。ゴジラみたいに放射能を吐き出して街を殲滅させるというわけではなく、鳥が飛んでいるだけなのですが、図体があまりにも巨大なせいで、人間に迷惑をかけるという悲劇が描かれているのです。当然、駆除の対象になり、自衛隊がミサイルで攻撃することになります。火山の噴火とともに燃えて墜落していくラドンの最期には哀愁感が漂い、切ない終わりでありました。

七十年近く前の映画に「地球温暖化」という言葉が出てきたのには驚きました。
今年、映画の劇場鑑賞は、これで締めであります。一年間、ありがとうございました。
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