うろやつひいず

昨年の仕掛人.藤枝梅安が良かったので、同じ原作者の映画化作品として、期待しています。
劇場版 鬼平犯科帳 血闘の前日談としてテレビ放送されたもので、私は日本映画専門チャンネルで鑑賞しました。これは原作の第一巻に登場するもっとも初期のエピソードであります。鬼平こと長谷川平蔵宣以が若い頃修行していた道場で同門の剣友だった男、岸井左馬之助が登場する。ふたりは今でも変わりなく友である。かつて、道場にはおふさという名の当主の孫娘がいて、左馬之助はこの娘に惚れていたのだった。
あれから二十年近くが経過して、中年になってしまった左馬之助が、今でもおふさに惚れているという話である。彼女は昔の彼女ならず。昔の幻想をそのまま抱いて想い続けるのは勝手だが、現実を知るのは残酷で、ある。最後の場面、桜屋敷のそばで佇む左馬之助の姿に哀愁感が漂ってせつない。
　ことわりもなく美化された女にしてみれば余計なことであり、気持ち悪く迷惑な話である。

劇場版への伏線もありました。映画も見たい。