男はつらいよ 知床慕情(4Kデジタル修復版)2020年07月08日

寅さん七本目。昭和六十二年の製作で、第38作目。先日の「相合い傘」が昭和五十年製作の第15作目、初期から比べるとかなり後期の作品であるといえよう。三船敏郎が出演していて、主演の渥美清と並んで二大スターの共演である。W主演と言っても良さそうな内容だと思った。ポスターやチラシの画像を見ても二人の姿が同じ大きさで印刷されていて、マドンナの竹下景子は小さく扱われている。北海道の知床が主な舞台になっていて、今作に関しては東京の葛飾柴又の出番は比較的少ないような印象を持った。
結婚に失敗した娘さん、スナックのママさん、大事な人達と上手に話すことができない獣医の三船さんに優しく接して、潤滑油のごとく仲をとりもつ寅さんの姿が粋である。
昔の映画を見ているとよくあることだが、このシリーズには一貫してエンドロールがない。
ラストシーンで「終」の文字が出てそのまんま幕である。最後の場面の映像が脳裏により強く印象付けられるように思う。「スター.ウォーズ」みたいにエンドロールと音楽がラストシーンとして成立している映画は別として、映画の終わりとして、エンドロールなど無い方が良い場合もあるのかもしれない、そう思った。
寅さんがいたら、他の映画なんていらない、そう感じている令和二年の夏である。

休日2020年06月25日

六月二十四日夕方~二十六日午前
田舎の家で一人と一匹。散歩と晩飯の買い出し以外はずっと外に出ないで過ごす。
タロウは毛皮をまとっているが故、暑さには弱いらしい。初日の夜、寝るときにエアコンの冷房を30分でオフになるよう設定して寝床に着いた。タロウは室内犬らしく、私の横で寄り添うように就寝したのだった。翌日、私はほぼ一日家の中にいて、本(眠れる女と狂卓の騎士)を読んでいた。
朝からタロウは食欲がなく、皿に盛ったドッグフードを食おうとしない。散歩に出かけた折には道端の雑草をクンクンしながら食べていた。身内が言うには犬は体調管理のために草を食うらしい。
腹の調子が悪い時、草を食べて嘔吐することにより、爽快感を得ると言う。実際、山の中でタロウはゲー言いながら青い草を吐き出していた。これは暑気あたりの症状なのではなかろうか。
家に帰ったのち、ふと気がつくと、台所の片隅でまたゲーしていた。なにやら寛容な気分だった私は怒る気持ちにならなかった。また本を読み、携帯電話のアプリで音楽を聴く。
夜になってやや元気を取り戻したタロウは食欲も出て、飯を食うようになった。そんな姿を眺めつつ、私も晩飯を食い、酒を飲んだ。寝る時間になると、またタロウは私の布団にまで来て温もりを感じるような近さでその身体を丸めるのだった。もしこれが綾瀬はるかだったらどんなに幸せだろうか、そう思った。

男はつらいよ 寅次郎相合い傘(4Kデジタル修復版)2020年06月21日

寅さん六本目。前半で寅さんと旅をしている中年男が面白かった。青森で知り合って一緒に青函連絡船に乗って函館に渡る。身なりも性格も良さそうだが哀愁感を漂わせ、誰がどう見ても仕事と家族をほっぽり出して現実逃避の旅をしているのがわかってしまう。夜更けに二人で屋台のラーメンを食べていると、隣に座ってきたのが「忘れな草」のリリーなのだった。二年ぶりの再会である。
その後三人で小樽、札幌と北海道で旅を続ける姿は楽しい。が、小樽港での離婚をめぐっての寅さんの一言はリリーを怒らせてしまい、そこで三人の旅は幕。
中年男(兵頭)は家庭に戻り寅さんは柴又に帰る。とらやの土間で言ってしまった言葉への懺悔を口にしながら寅さんはリリーがまた訪ねてこねぇだろうかと肩を落として後悔している。
雨降りの夜、番傘をさしながら柴又の駅前でリリーの帰りを待っている寅さんの後ろ姿とその後の相合い傘は名場面(有名だそうです)だった。
「きれいな女人」御前様の口上が傑作である意味一番笑えたかもしれない。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 (4Kデジタル修復版)2020年06月21日

寅さん五本目。「ねぇこの紫色の花、なんていうの?」「たんぽぽだよ!」
冒頭、息子にピアノを習わせたいというさくらの思いを勘違いした寅さんは玩具のピアノを買ってくる。そのことでとらやの家族と大喧嘩になってしまった寅さんは北海道へと旅立つのであった。
旅の途中、網走への夜汽車の中で一人涙ぐんでいる女の姿を見かけたのち、網走の町で古レコードを売っていると、声をかけてきたのが、その女(リリー)だった。旅回りのテキ屋と歌手、なにやら境遇が似ている二人は意気投合するのだ。地道な仕事に就こうと決心した寅さんは開拓部落の牧場で酪農を営む家族の元で働こうとするのだが、わずか三日で熱を出してぶっ倒れてしまう。四時起きの重労働に耐えられなかったのだった。
先に見た光本幸子や吉永小百合とはかけ離れたイメージの浅丘ルリ子がマドンナ役ですが、最も出演作が多いのが彼女なので、寅さんとは一番相性が良かったんでしょうね。
この作品のラストでは寿司屋の大将と結婚して幸せになります。おかみさんとして新しい店を旦那と二人で切り盛りしているのです。その頃、寅さんは北海道で酪農一家を訪ね、また仕事を手伝おうとしています。

男はつらいよ 寅次郎恋やつれ (4Kデジタル修復版)2020年06月19日

寅さん四本目。最新作をほったらかして寅さんばかり見ている私である。
三日前に見た「柴又慕情」の続編で島根の津和野を訪れた寅さんが偶然に歌子(吉永小百合)と再会をする。前回のラストで幸せな結婚をしたはずの歌子だったがわずか二年の間に陶芸家の夫と死に別れていたという意外な展開である。ハードな運命に翻弄されるマドンナを元気付けようと必死になる寅さん。相手が惚れている女なのだからなおさらである。歌子を相手にテンパってしまう姿に思わず笑ってしまうのだった。父親役の小説家を演じるのは宮口精二で黒っぽい着流し姿で文机を前にしながら万年筆を握って原稿用紙に向き合う姿がカッコ良い。
歌子の実家では縁側から垣根越しに夏の花火が見える。「ビルが建つ前はもっとよく見えた」というセリフがあります。現代ならばタワーマンションの高層階からしか見えないのではなかろうか。
主なロケ地は島根県です。山と海の風景はどこにでもありそうですが、その地独自の地形や風土があり、とてもきれいに映されています。四十六年前の日本の景色です。このシリーズの見どころです。
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