グリンゴ 最強の悪運男2020年02月12日

狐と狸の化かし合いみたいな話は先日の「嘘八百」に続いて今年二本目ですが、藤山寛美の人情喜劇を思わせるような「京町ロワイヤル」に比べ、妻を社長に寝取られた男が復讐に麻薬の密輸がらみで誘拐事件をでっち上げるという本作は、エッジが効いていて乾いた笑いが見せ所と言えましょう。人が拷問されたり殺されたり殺したり。シカゴとメキシコシティーの間で国際的な組織犯罪が暗躍し、身代金や保険金など胡散臭い金の流れと麻薬の密輸が交差して多くの人命が吹っ飛ぶのです。それを笑いのネタにしているという作品であります。コメディだけど、ハードボイルドといえばいいんでしょうか、このテイストは邦画ではなかなか味わえない感覚でして、大変に面白かったです。

嘘八百 京町ロワイヤル2020年02月03日

前作が好評だったらしく、第二弾が公開されました。
二年前、コメディというよりは喜劇で、作中のギャグにもキレのようなものはないけれど、どちらかというと年配者好みの内容で、私自身も楽しんで見ることができましたと、そのような感想を書きました。今回も観客は中高年ばかりでしたが、劇場は比較的混んでいました。
中井貴一と佐々木蔵之介のコンビがインチキ美術商のイカサマ商売を暴露するために贋物茶碗を作って罠を仕掛けるのです。主人公双方の妻子たち、「土竜」の面々、学芸員、の人々が前作に続いて再登場します。イカサマ美術商が加藤雅也、騒動の元を持ち込む美人が広末涼子です。
製作陣にはシリーズ化したいという意向があるようです。主役の一人中井さんが京都に引っ越してきたのは今後の展開を見据えてのことなのかもしれません。骨董コンビが毎回古美術を食い物にする悪役と対峙し、華を添えるようにマドンナが絡んでくるみたいな。某国のスパイ映画のパロディみたいなポスターにもそのような気持ちがにじみ出ているような気がしました。
ラストは「つづく、、、かもしれない」と。

濹東綺譚2020年01月27日

私は二ヶ月に一度の頻度で地方に旅に行く。国内旅行ですね。自分が住んでいる場所が起点となるので、全国どこに行こうがその方向は地方であると言えよう。
一月下旬、私は早朝の便で関空から成田へ飛んだ。着陸後、滑走路からバスに乗って移動し、第三ターミナルに到着した。さらに移動し、第二ターミナルの中を巨大な旅行鞄を転がしている人たちとぶつからないように歩き、鉄道に向かう通路の脇にあったコンビニで読売新聞を買った。京成電車の券売機で切符を買い、改札を二度通ってホームへの階段をおり、上野行きの特急に乗った。始発の次の駅なので車内は空いている。新聞記事の一面は、新型肺炎 武漢在留邦人帰国へ、だった。新型コロナウイルスの影響で政府は中国武漢市に在留する日本人のうち希望者全員を帰国させる方針を決めた、と。大相撲初場所で幕尻力士の徳勝龍が初優勝、幕内の番付最下位にあたる幕尻の優勝は二十年ぶりらしい。
約一時間後、船橋市内の駅で降り、用事を済ませてまた移動した。本屋に入った。旅行中の空いた時間の慰めに文庫本を買おうと思ったのだ。選んだのは永井荷風の「濹東綺譚」三百七十円(税別)だった。
書き出しは「わたくしは殆ど活動写真を見に行ったことがない。」
活動写真が趣味で年間百本以上は見ている私とは大違いのお方であります。昭和十一年の著作で、当時の向島寺島町が舞台である。現代では墨田区の西部、東京スカイツリーのある付近だと思われる。初老の男が私娼街玉の井へ通っていたおり、雨降りの偶然で娼婦のお雪と知り合い、打ち解けてその家に通い詰めるようになる。そこは売春宿である。雨が降る日には溝から水が溢れ出し、トタン葺きの屋根からは雨だれの音が聞こえてくる。夏でも長火鉢に炭火があって湯沸かしが置いてあり、家の中には蚊が飛び交っている。吾妻橋から道路が開かれ市営バスの往復が延長され、東武鉄道が盛り場の西南に玉の井駅を設けて夜の十二時まで雷門から人を載せて来るようになった云々、大正から昭和になり戦争が始まる以前、すでに町並みの盛衰を嘆いている中年男がいたことがわかって興味深い。本編の後、作後贅言という後書きが追加されていますが、ここでは銀座の町が震災後にすっかり変わってしまったことを嘆いている。震災とは大正十二年の関東大震災のことを指していると思われる。関西もしくは九州からきた人が増え、彼らは東京の習慣を知らない、と。
西船の大衆酒場でビールと煮込み(その他)を飲んで食い、JRで千葉市内に。ホテルで風呂に入ってNMB48山本彩の卒業コンサートのDVDを見て、寝た。

なんだか気になったので、その後映画「濹東綺譚」のDVDも鑑賞した。平成四年製作の新藤兼人監督、津川雅彦主演の作品である。見方によってはエロじじいの放蕩日記のようにも思え、楽しめる人は限られるのではなかろうか。わたしゃ、面白かったですが。

カイジ ファイナルゲーム2020年01月20日

予告編にあった、カイジが生ビールを飲み込んだあとジョッキを手にしながら、全力で「あ〜キンキンに冷えてやがる」「悪魔的だー!」と絶叫する場面。
あれが見たくて劇場に足を運んだ。私だけではあるまい。あそこまで酒がうまいと思えるシチュエーションとは一体全体なんなのか。そこに金を払う価値がある。
寅さんも言っていたではないですか。「生まれてきてよかったなって思うことが何べんかあるじゃない。そのために人間生きてるんじゃないのか」間違いなく、その何べんかのうちの一遍です。

男はつらいよ お帰り 寅さん2020年01月17日

「男はつらいよ」は、私が映画館通いをしていた中高生の頃が全盛期だったでしょうか。毎年新作が盆正月の年二回、公開されており、松竹映画の定番でありました。でも、まだ十代半ばの年頃だった私には興味の対象外の作品でありまして、シリーズ通して一回も見たことがありません。ただ、予告編だけは何回も見ました。なんの思い入れもないのですが、今回、見る気になったのは自分自身が年をとったせいであります。桑田佳祐が主題歌を歌っても全く違和感がないところが時代の経過を実感させますな。近くの席のおじさんがずっと泣きながら鑑賞しておりまして、昔からのファンの人にはたまらないんでしょうね。
作中、長年欧州で暮らしている後藤久美子が、寅屋にお泊まりする際「畳に布団でなんて何年も寝てないだろう」という会話がありました。私の寝室は畳に布団ですよ。よく眠れます(笑)
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