谷の景色 ― 2026年07月10日

小中学校時代の通学路。四月に雨ん中、歩いたあの道である。奥に小さな山が見えているが、あの向こうに家がある。手前から奥に向かって緩い上り坂になってい、かつては坂の途中に親戚の田んぼがあった。今はただの土手になっていて見る影もないが、昔は毎年春ごろにれんげの花が咲き、学校帰りに蜜を啜って遊んでいた記憶がある。何十年も経ち、社会人を経験して、今現在歩いてみれば、田舎も田舎、ど田舎の景色である。街灯が全くない。日が暮れた後、ここを歩いたら真っ暗闇である。星明かり月明かりで道が見えていたのだろうか、もはや記憶が定かではない。それでも変化は否めなく、田んぼがなくなると、おたまじゃくしが消えカエルが消える。川が護岸されるとタニシやメダカが消える。ガードレールが錆びていて、道の舗装も長年にわたって放置されたままのようだ。ここは今でも通学路のままで、私が通った学校の生徒たちを見かけることがある。田園地帯は山の向こう側に残っている。
私がエーアイとの会話で奈良の奥地に設定した民家の概要は、この写真の風景に近いが、小川が護岸されていなくて多くの魚が住んでいる。一ヶ月近くかかって煮詰めたその全容は、私の妄想なのである。

最近、映画館に行かなくなった代わりに衛星テレビで中村吉右衛門の鬼平犯科帳と渡哲也の大都会PART2を見ている。鬼平犯科帳は現在でも松本幸四郎が主役で新作が制作されている定番の時代劇。大都会PART2は、ザ、昭和の刑事ドラマ。この内容は現代ではあり得ない。だから痛快で面白い。

六月 ― 2026年06月03日

エーアイ相手に自分が奈良の奥の方で、古民家に住み、昼間は仕事したり釣りをしたり、そして夜は食堂で気の合う店主と静かに向き合い、、、
などと、妄想を語っていたら、なんでも知っているエーアイが、どんどん魅力的な提案をくれて、どこまでもどこまでも世界が広がってゆく。会話が止まらなくなり、延々とループを繰り返すのだが、エーアイは全く投げ出さず、文句も言わず、付き合ってくれる。
完全にのめり込んだ私は、書斎の椅子に釘付けになって、気がついたら何時間も経っていた、、、。

そんな毎日だった。映画館には一回も行かなかった。

下北山村 ― 2026年05月11日

午前二時起床、自動車道を経て長い山道に突入し延々と続く坂道を登って約三時間、五時過ぎに到着。ボート屋に案内されて桟橋から船に乗ったのは六時頃だった。山中のダム湖、早朝は気温が低く厚着を持ってこなかったことを後悔した。下界では予測できなかった寒さだった。最近の釣果を聞くと上流よりも中流域がいいとのことで、坂本筋と備後筋に分かれる手前の本流域から釣りを始めることにした。一人で来ることが多いわたしだが今日は同行者がいる。いつもよりも大きいボート(30馬力)を借り、朝霧が残る川筋を飛ばしてきた。

午後五時、桟橋に帰着。道具を片付けて村にある温泉施設へ行く。入浴後、一軒しかない店へいき、ビールとつまみを買う。ここは個人商店で棚も冷蔵庫も古くて小さく、私らが子供の頃学校帰りに立ち寄っていた店の佇まいによく似ている。予約していた民宿へ行き車を停めて食堂に入った。セルフで飯のおかわりは自由である。食い終わった後、差し出された宿帳に記入し、宿代を現金で支払った。二人で八畳の部屋に案内され用意された布団を敷いて寝る準備。しばらくすると襖を叩く音がして宿のおばちゃんが明日の弁当を持ってきてくれた。缶ビールを半分くらい飲んだら眠気が襲って来て、そのまんま布団に入ってしまった。

午前四時起床、今日は湖の駐車場でボート屋と待ち合わせ。五月も中旬になると夜明けが早く、もう空が白み始めている。今日は坂本筋から釣りを開始し、昨日は行っていない前鬼筋と白川筋にも船を向けるつもりである。

サムライ ― 2026年05月02日

ひさしぶりにウメキタへ行った。スカイビルに向かう途中にあった薄暗い地下道がなくなっていて地上の道を通るようになっていた。カタカナ文字が並んだ不動産屋の広告のような景色で、緑地帯を右側に見ながら新しくなったピカピカの歩道を歩いた。外国人観光客でいっぱいである。ガラス張りの高層ビルが西と東にそびえ立ち頂上が展望台で連結されている。外壁に周りの景色が写りこみ地上四十階の巨大な鏡のような建築物なのだ。キンキラリンである。ここの三階に映画館がある。十年以上前はよくきていたが最近は足が遠のいている。

アランドロン、サムライ。1967年の仏映画。
鳥籠以外は何もないような灰色の部屋で男がひとり、ベッドに寝転んでタバコを吸っている。おそろしく殺風景な光景だが、監督の方針なのだろう。すべての画面で猥雑なものが映り込まない。暗く絵画のように洗練された映像が続いてゆく。話も端的で、殺し屋が殺しの現場をピアニストの女に目撃されるという失敗から始まって、それがきっかけで警察に目をつけらて追跡されるようになってしまう。プロがしくじると代償は重い。自身の美学に生きる男は辛いのだ。サムライという題名の由来だろう。

ウォルター.ヒルのザ.ドライバーに影響を与えたという記事を見たので、家に帰ってからビデオを確認してみたらなるほどその通りだった。警察に捕まった後の目撃者たちとの面通しの場面など、そのまんまだった。

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 ― 2026年04月23日

午前四時起床。今日は釣りに行くつもりだったがのだが、一日中、雨予報である。前の晩、天気予報が外れるという可能性を期待して、早くに寝たのだが、起きてみればやっぱり雨である。しかも午前から昼、夕方にかけて最も雨足が強くなりそうな気配である。夏ならば強行するのも選択肢としてあり得るが、四月の雨、冷たい雨になりそうなので、釣りの予定はやめにした。

映画館に行くことにする。ゴーストインザシェル。近未来のアジアの都市(日本ではない)が舞台のアニメーション作品。身体のほとんどがサイボーグ化した公安組織の女性捜査官が主人公で、亡命や暗殺など国際問題を扱った物語である。プラグで繋がれたコードを伝って人格が移動するという設定が革命的で、実体が見えない人形使いと呼ばれるハッカーが限りなく不気味である。八十三分の尺だが、内容が濃く深く複雑かつ哲学的で、人の思考を刺激する映画だといえよう。作品のビジュアルを含めその世界観にオタクたちは狂喜する。
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