かくかくしかじか2025年06月10日

近年、私はほとんど漫画を読まなくなってしまった。唯一、読んでいるのはゴルゴ13である。そんなわけだから原作の東村アキコさんという漫画家は知らなかった。この映画は東村さんの自伝的な作品で彼女が高校三年生の時から始まって、その後九年間にわたる絵の恩師の方との交流が描かれています。
東村さんが何年生まれのなのかは存じ上げませんが、高校大学を通じて公衆電話を使用している描写があります。ピンク色の電話に十円硬貨を積み上げて会話をしている様子は私自身の学生時代と共通しているものであり、また竹刀を持って生徒たちを指導するというスパルタ式の先生というのものかつては確かに存在していました。携帯電話やスマホがある現代とは明らかに人と人との距離感が違っていて、全編を通じて自分自身と割と近い時代を生きてきた人の歴史を見ることができ、しかもこれが女性目線であるということが新鮮で目新しく思いました。
主人公は人生の節目で、宮崎、金沢、東京と、移り住んで行きますが、この日本列島を縦断するような転居歴は地方出身者(特に大都市圏から離れた都道府県出身者)には共感できる部分ではないでしょうか。
恩師の先生はずっと宮崎にいて、時には東村さんを訪ねて来、時には電話で帰ってこいと言ってきたり、故郷を離れた後も彼女の生活に関わってきます。

私には恩師と呼べる先生はいませんが「描け!」の一言で、怠け癖のある人生に喝を入れてくれる、そのような存在がもしあったなら、違う未来を見ていたかもしれないと、感想であります。
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