宝島2025年10月01日

沖縄出身の人物を一人知っていました。彼女は沖縄が復帰後に生まれた世代なので、映画の中の人々とはかなり年代が違います。曰く、米兵はモテるそうである。もちろんそれは当人の身の回りに限った話であり、沖縄に行ったことがない私には現地の様子はわからない。ただ、私が知っている沖縄出身の人は米兵が好きだった。マスコミを通じて報道される基地問題の内容から全ての沖縄の人々は米軍をよく思っていないと想像していた私にとっては、意外なことを言う人間がいることを知り、世の中は一筋縄ではないなと思ったのであった。

そんな個人的な記憶は関係なく、これは沖縄の苦悩を綴った映画であった。飛行機が墜落して学校を焼かれても、女が襲われても、交通事故で轢き殺されても、裁かれることなく守られて基地の奥へ消えてゆく米兵たち。先の戦争で地上戦にさらされた恨みと敗戦の無念が積み重なりその上に現在進行形で占領されている屈辱に耐えねばならない沖縄県民の歴史が語られる。本土で生まれて、本土しか知らない私は傍観者でしかないという現実を嫌でも自覚させられながら時間が経過し、最後は大規模な暴動に至る(コザ暴動というらしい)。

俳優の熱演と映像は見応えがあった。ただ3時間超という上映時間はこの作品においては不利に働いているような気がした。割と早い段階で映画館での上映回数が少なくなっているのが気になる。公開のタイミングとか時事性、話題性とか運のようなものもあるだろう。事実、国宝は映画史に残るような大ヒットをしている。

ちなみに3時間越えでよかった映画を一本選べと言われたら(いっぱい見ていますよ)、私はタイタニックだと言いたい。
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