土を喰らう十二カ月2022年11月14日

信州の山奥で一人暮らしをしている作家ツトムの話。一月から十二月まで、季節の移り変わりとともに映画が進行します。山や川、畑などで採れる旬の山菜や野菜、穀物などの収穫から始まり、皿に盛り付けて食すまで、その過程が丹念に描かれています。寺の小僧をやっていたツトムが子供の頃に身につけた精進料理の手順が映画の魅力になっています。もっとも、精進料理では肉は食いません。美味しそうに撮られているから勘違いしてしまいそうですが、本来、修行僧の食事であり、食が細くなってきた年配者ゆえに満足できるのかもしれません。恋人の真知子だってたまに来て食べているから旨いと思えるのかもしれませんが、自分が住んでいる東京にいるときには肉も魚も乳製品も何もかも全部食っているに違いない。
基本的に地方の老人たちの物語なので、この作品はある程度年をとった人間でないと楽しめないかもしれないと思いました。山奥の家で精進料理を食べながら一年を過ごすことをどう感じるか。観客は自分を含めて白髪頭の男女たちばかりでした。
主題歌は主演の沢田研二本人が歌っています。昔と容姿は変わっても歌声は変わりません。流石であります。
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