窓辺にて2022年11月22日

初めから終わりまで、人の会話を聞いている映画。ほとんどの場面で人と人が一対一、つまりサシで話をしている。ラジオドラマとしてでも成立するのではないかと思ってしまった。十五分のラジオドラマ(十話分)だというのが私の感想です。会話の積み重ねで話の流れが見えてきて一本の筋書きが出来上がった、という感じ。なので、もしかしたら会話が苦手な人には苦痛かもしれません。
映像としては美男美女ばかりが登場し、服装のセンスもよく、店や室内の様子に清潔感があるうえに洒落ていて現代的。田端駅、神楽坂、などの具体的な地名が出てくるし、バイクは湘南ナンバーだったような気がするので、作品の舞台は東京か神奈川の都心に近いところなのだろう。先日鑑賞した土を喰らう十二カ月とはエラい違いであります。
グロテスクな愛憎劇になってもおかしくないような状況なのに、主人公たちの感情は乏しく冷たく、飄々としている。会話といえば、まるで酒場に行って控えめな相手と薄めまくった水割りを飲んでいるかのような印象です。見終わって考えるに、これは軽めの恋愛喜劇なのかな、と。
こういった作品は劇場でないとなかなか鑑賞する機会はないと思います。映画が好きな人向けと言えるでしょう。
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