彼女がその名を知らない鳥たち2017年11月22日

私には、(今は違うが)どちらかというと洋画が好きだった時代があった。時間もカネもかかる海外旅行とは違うけれど、千円ちょっとで言語や生活習慣の違う欧米の作品を鑑賞することによって、別世界に連れて行ってくれる。簡単な現実逃避を体感できるのだ。
邦画は、あまりにも自分たちの日常に近く、見ていて息苦しくなるような時がある。この作品の冒頭に登場する十和子のクレーマーぶりや、狭くて猥雑な集合住宅内の描写、同居人である陣治の不潔さ、混雑した電車の中で他人と密着する不快感など。数え上げればきりがない。休日の娯楽で金を払ってストレスを感じるなんてことは、許されざることなのではなかろうか。
主な役者たちは、極めて不快な登場人物を、極めて不快に演じています。このような作品が映画館で公開されていることに、まだ邦画は捨てたものではないと感じました。
ラストなど「それは違うだろ」と思いましたが、私の中では充実した映画でした。
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