「バーバラと心の巨人」「劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ」「2001年 宇宙の旅」2018年10月23日

バーバラと心の巨人

バーバラは自分の世界に閉じこもっている。想像上の巨人と戦っているのだ。学校はおろか兄弟の中でも変人扱いで、彼女を構ってくれるのはいじめっ子と転校生とカウンセラーの先生、三人だけである。いじめっ子はともかく、仲良くなろうと気にかけてくれる人にまで牙を剝くことがある。襲ってくるという巨人の世界観はバーバラの中で完全に確立されていて、それに対する他人の言葉は一切受け付けないという頑なさである。へこたれず手を差し伸べてくれる優しい人がいるのだから、見ている方としてはもう少し心を開いてあげろよと思ってしまう。嵐の後、最後に巨人の秘密が明かされて、バーバラは成長する。想像力は心を豊かにすると思いますが度がすぎると危ない人になってしまいますな。彼女にはそれなりの理由があったのですが。


劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ

原作は少女漫画なのだろうか。妖怪が見える超能力があるという少年が主人公。「スーパー.ナチュラル」みたいに退治するという乱暴な話ではない。友人帳なる契約書から妖怪たちを解放してあげるのが本題で、なんだか優しい物語である。それでも人を襲ってくる妖怪もいて、ときには戦わねばならないこともあるようだ。そんな時、主役の夏目少年を守ってくれるのがニャンコ先生である。ニャンコ先生なんて「いなかっぺ大将」みたいである。キャット空中三回転である。山沿いの自然豊かな風景がもののけ達にふさわしく、懐かしいような気持ちにさせられますな。


2001年 宇宙の旅

今回のリバイバルは50年前に公開されたオリジナルに近い形での上映、という点が貴重であるということらしい。技術的なことは専門家ではないので詳しくないけれど、情報の受け売りが許されるなら、70mmフィルムで撮影されたというこの作品、デジカル化が進んだ現在では上映できる劇場がないらしい。昔ながらの車のタイヤみたいに巨大な70mmフィルムを映写機でスクリーンに投影させられるのは「国立映画アーカイブ」だけだと。職人技が必要で一日二回の上映が限界らしく、六日間計十二回のみの公開で、即完売したと聞く。

私が今回、鑑賞したのはデジタルIMAX版である。フィルムで見るのとどう違うのか比較できないのでわかりません。ただ、巨大なスクリーンで見ることができたのは良かったと思います。

冒頭MGMのロゴが出る前に真っ暗のまま序曲がある。真ん中で約十分の休憩がある。映画が終わり全てのクレジットが流れてENDタイトルが出た後も真っ暗なまま「美しく青きドナウ」が延々と演奏される。

序曲のある作品は、これ以外では「ドクトル.  ジバゴ」しか記憶にありません。

二十代の頃、リバイバル上映を見た時、冒頭の序曲は覚えていますが、真ん中の休憩はなく、一気に上映されたと思います。

宇宙から見た地球の映像などは、近年の「ゼロ.グラビティ」と比べるとやはり時代を感じますが。


「プーと大人になった僕」「デス. ウィッシュ」「散り椿」2018年10月25日

プーと大人になった僕

クリストファー.ロビンが大人になってからの話です。戦争に従軍し、結婚して妻子とロンドンで暮らしています。旅行鞄を作る会社で働いているようです。1950年代なのではないかと想像します。今からすれば牧歌的な時代だと思うのですが、会社で働くのにストレスが伴うのは現代となんら変わらないようです。

プーさんがぬいぐるみだったというのは初めて知りました。ぬいぐるみとお話しするなんてのは、小さな子供ならばみんなやりそうなことですが、夢のある話で、いいです。

クリストファー.ロビンは人間だから年をとる。でもプーさんは昔のままいつまでも年を取らない。だからこそ切なく、心を打たれるのです。ぬいぐるみまで一緒に年をとってしまったら「テッド」ですな。それはそれで面白いけれど。

原作者A.A.ミルンの本に一つだけ推理小説があり「赤い館の秘密」というのですが、愛読書です(余談)


デス.  ウィッシュ

ブルース.ウィリスはシカゴで外科医をやっている。冒頭、撃たれた警官がストレッチャーに乗せられ狭い病院の通路を同僚や看護師に押されながら通過する。大勢の人々が集まったまるで戦場のような救急救命現場。テレビの「ER」そのまんまである。

その後、ウィルス先生は強盗に家族を殺される。やり場のない悲しみと怒りを抱えて眠れない夜を過ごすようになってしまうのだ。あるコトをきっかけに、拳銃を手に入れた先生は、人知れず射撃の練習をし、犯人に復讐を思い立つようになる。警察では間に合わない悪人を自らの手で裁くのだ。

やっぱりブルース.ウィリスはメスを持つよりも拳銃を持つ方がサマになる。


散り椿

まるで絵画のように画面が綺麗な映画。降りしきる雪の場面で始まり、全編を通して春夏秋冬、美しい日本の風景が映し出される。クライマックスでは何百年に一度とも言われる金環食まで見ることができる。

戦国時代が終わって世の中が安定した徳川時代、なくなった妻の願いを聞いて故郷に帰った元藩士、瓜生新兵衛の物語である。教科書を読むような時代劇で、奇抜な展開や演出はなく、安心安定、心静かに落ち着いて最後まで見ることができる。このような作品を好むのは年配者であり、事実、観客は私を含めて中高年ばかりであった。


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