ツィゴイネルワイゼン2024年03月04日

テレビで見たのが何年前なのか思い出せない。久しぶりなので、よく覚えていない映画であった。中砂の「承知だな」という台詞だけは、何に対して承知なのかは定かではないが、何故だか記憶に残っていた。
五日前、陽炎座を鑑賞した後だったのが、幸いしたのか、わかりやすく感じてしまった。陽炎座では、現実と空想の境界線がなく、難解だとの感想を抱きましたが、この作品においては、まだ違和感が少なくて、ぶっ飛んだ表現も抑え気味のように感じた。もしかしたら耐性の問題であり、陽炎座で鈴木清順の世界観に免疫ができたからなのかもしれない。
ツィゴイネルワイゼンは士官学校独逸語教授の青地と旧友の中砂、そしてその妻たちの交流が描かれている映画であります。自由奔放で狂気すらおびている中砂の行動が予測不能で、まわりは振りまわされるのだが、みんな付き合いを止めようとしないのは、その人間性に魅力があるからだろうと思われる。
冒頭で、サラサーテのSPレコードが演奏され、途中で録音時に偶然入った人の声が聞こえてくる。何と言っているのか聞き取れない。弟を亡くした芸者が登場し、火葬で焼かれた骨がうっすらと血の色を帯びていたという逸話がある。盲目の旅芸人(年老いた男、若い女、若い男)が、三角の愛憎関係を抱えながらも、離れることができないまま、旅を続ける。この三本の伏線が話の進行を支配していてですな、摩訶不思議な生死の物語が綴られていくわけです。
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