「ナイスガイズ」「愚行録」2017年02月21日

ナイスガイズ

深夜、部屋から少年が起きて来て寝ている父親のポルノ雑誌を持ち出してグラビア写真を盗み見していると、家の中に自動車が突っ込んできて壁を突き破って反対側に飛び出し、ひっくり返しになって止まる。中から出てきたのは裸のグラマー美人で、今見ていた写真の女だった。そんな素敵な夢のあるオープニングである。

1977年のロスアンゼルスが舞台になっていて、日本車に席巻される前の自動車産業をめぐる陰謀に巻き込まれる私立探偵の活躍が描かれています。カーアクションと銃撃戦が見せ所になっていて(年代的に当たり前だが)携帯電話とコンピューターは出てこない。アナログな世界が快適な雰囲気を醸し出し、気持ちよく楽しむことができました。探偵の娘(13歳)が重要な役回りを与えられていて、それがこの映画の見所になっている。私の中では主人公である二人の探偵の行動に興味があるので、少女の存在はどうでもいいのだが、彼女がいるのといないのでは、作品自体が別物になっていたのかな。


愚行録

終始、重苦しい空気の中で進行する物語である。一家惨殺事件の顚末を取材する週刊誌記者の目線で話は進んでゆくのだが、その過程で被害者夫婦が人から殺意を抱かれても不自然ではない人物だったことが明らかになってくる。社会における格差の問題は誰もがわかっていることなので、今更確認するまでもないのだが、「上流」と言われている大学に入学し、上と下の境界線でもがいている人間が確かに存在することをあらためて思い知らされる。

一般家庭の生まれが、上流に食い込むためには美人で華やかでなくてならないとか、言ってはならないタブーのような事柄が描写されているのだ。貧乏人が這い上がるには金を稼ぐしかない。その甲斐性がない人間は、金持ちと結婚するしかないのかもしれない。

もちろん、この映画が描いているのは、もっともっと深い闇の中である。社会格差など、表層に過ぎない。

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