「ナラタージュ」「アトミック.ブロンド」「バリー.シール アメリカをはめた男」2017年10月24日

ナラタージュ

雨が降る夜の場面で始まる憂鬱な映画である。

思うに主人公の女性は自分の気持ちが想いびとに届かないことを最初からどこかで悟っていて、それでも心を断ち切ることができず、ゆえになんとも言えないような暗く湿った重たい空気が作品の中に漂い続け、最後まで晴れることがない。このような精神を無駄にすり減らすような恋愛は不毛だと思えるのだが、人間だから合理的に割り切れるものではない。

私が嫌いな「ふざけるな」というセリフが、この映画の中でもあった。雰囲気が台無しである。

アトミック.ブロンド

意外なことに1989年の話である。ベルリンの壁崩壊の中で暗礁する東西のスパイ達が描かれています。

アクションがなかなか強烈で、主人公の攻撃で致命傷を負った敵が血を吐きながらも死力を尽くして襲いかかってきます。一人だけではありません。何人も何人も波状攻撃のように襲ってくるのです。血だらけです。それでも全員、殺します。シャリーズ.セロン、最強です。クイーンとデビット.ボウイの「アンダー.プレッシャー」がラストで流れます。

バリー.シール アメリカをはめた男

実在の人物を描いた作品です。主に1980年代の話で当時のレーガン大統領の映像が頻繁に挿入されています。

米国と中南米の間を小型機で往復しながら武器や麻薬を密輸し巨額の富を得るというパイロットの話です。

最初は何もない小さな町に現金が大量に流れ込み、やがて銀行が乱立するようになり地域全体が見た目にも豊かになっていく過程が興味深かったです。社会に大きな富をもたらす人間は目立つ。そして金のあるところに人が群がるのだ。札束が積み重なって溢れかえっていくというアナログな世界が時代を感じさせます。


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