麻雀放浪記20202019年04月15日

麻雀に限らず賭博をやったことのある多くの人は阿佐田哲也の小説を読んだ経験があると思います。
特に麻雀放浪記の「青春編」は聖書と呼んでもいいのではないでしょうか。私も雀荘に入り浸っていた学生時代、夢中になり、一日で分厚い文庫本を読み切った思い出があります。
映画の方も原作に忠実な内容で(昭和五十九年の作品)モノクロ作品であり、冒頭に流れる岡晴夫の「東京の花売り娘」と焼け野原の場面で一気に昭和二十年まで時間を遡ってみせる。高品格が演じる出目徳は日本映画史上最高の適役と思えるほどにはまっていて、わたしゃ当時、青二才の学生で身の程知らずも甚だしいが、胸に腕組んで鼻息も荒く首を縦に振りながら唸ってしまうような名演であった。
アレを超えるのは無理だろうと思っていたら、ぜんぜん違うアプローチで、坊や哲が終戦直後から2020年までタイムスリップしてくるという荒唐無稽な内容だった。しかも戦争があって五輪が中止になったという近未来の話である。坊や哲は昭和二十年の時点で二十才である。故に大正十五年か昭和元年の生まれであり、そのような男が2020年(令和二年)の東京に馴染む道理がなく「帰りてぇ」と思うのは自然な感情なのだ。
ドサ健と出目徳は、今作でも登場しますが、もちろん昭和の前作と比べてしまう自分がいて、それは仕方がないことでしょう。
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