「マチネの終わりに」「閉鎖病練 -それぞれの朝-」 ― 2019年11月01日
マチネの終わりに
東京、パリ、ニューヨーク、ギタリストとジャーナリスト、福山雅治と石田ゆり子、語感が綺麗ですな。
一般人ではおよそあり得ないような美中年の二人が、大真面目に愛のドラマを繰り広げます。自分が美男美女になったつもりで感情移入して鑑賞するのが正しい見方だと思います。これはロマンなのです。浸りましょう。
それにしても携帯電話は恐ろしい。ない方が人類は幸せでなのではなかろうか。
閉鎖病練 -それぞれの朝-
死刑執行の場面から始まる。絞首刑である。執行後、受刑者は蘇生する。映画では過去に一例だけあったと解説されています。死刑のやり直しはない、と。無罪放免というわけにもいかず、主人公はとある病院に収容されるわけです。ひらたく言えば、そこは精神病院だったのです。入院している人たちは、それぞれの事情を抱えています。
後半に至り、事件が起こり、死刑で死ねなかった男の行く末が焦点となります。
「ジョーカー」「IT THE END それが見えたら終わり」 ― 2019年11月04日
ジョーカー
バットマンの悪役として認識していたジョーカーが単独の主役になった。オリジナルのストーリーで、原作はコミックですが、そんな雰囲気は微塵もなく、シリアスなサイコサスペンスのような映画になった。
時代設定は1980年代のように思える。貧富の落差が激しい格差社会はどちらかというと現代の方に近いのでしょうか。クライマックスでゴッサムシティが燃えているが、それは社会に不満を持つ民衆によるものであり、ジョーカーが直接手を下したものではないのだ。バートン版「バットマン」ノーラン版「ダークナイト」とこれ、3本の中で、一番救いようがなくて暗いと思いました。
IT THE END それが見えたら終わり
2時間49分、なんでこんなに長いのか。前編も合わせると5時間超になるのではないか。(読んでないけど)原作を映像化するには、ある程度の長さが必要になるのか。私は映画を一回見ただけなので、その深さを理解するのには学習が足りないと言えよう。
現在は大人になった主人公たちだが、画面が頻繁に少年少女時代に巻き戻される。ペニーワイズの悪行なのか本人たちの妄想なのかはっきりしないが、異形の魔物が唐突に登場し、襲いかかってくる。連発されるグロテスクな表現の中にこの作品の真髄があるのだろうと想像します。
「真実」「喝 風太郎」 ― 2019年11月07日
真実
場所がフランスのパリで、外国人ばかりの出演ですが、是枝監督の家族の描き方はいつもと同じような雰囲気です。大女優の母親と脚本家の娘による愛憎劇なのですが、娘婿、孫、祖父、仕事仲間などが絡み合った集団劇になっていて、家と撮影所を往復しながらの毎日が描かれています。愛憎劇と書きましたが重苦しいものではなく、最後は見ている人が幸せな気分になれるようなタッチです。相変わらず子供が魅力的です。
私が見たのは「特別編集版」で、イーサン.ホークの出演場面が増えているとのことです。逆にオリジナル版を見てみたいと思いました。
喝 風太郎
山寺で修行する僧侶が大和尚から下界に降りてこいと言われ、普通の街中に。世の中は不景気で托鉢なども思うようにいかず、彼は河原でホームレスの人たちと寝食を共にするようになる。
偶然に出会った人たちを仏の金言で心安らかな方向に導いてくれるのだった。と、いう話ですがもっとグイグイと迷える人々を引っ張ってくれるのかと思っていたけれど、今時というのか「あんたの人生だ。生きるのはあんただぞ」とか、最後は「自分で決めろ」なのです。カリスマ性がないので教祖様や政治家にはなれないタイプの主人公でした。
「Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆」「永遠の門 ゴッホの見た未来」 ― 2019年11月11日
Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆
見たよ。
永遠の門 ゴッホの見た未来
仏国ではパリが有名だが、この映画の舞台は温暖な南仏の地方である。見渡す限りの田園風景なのだ。人付き合いが苦手で、大人に限らず子供達からも嫌われている孤独な画家が主人公である。
ゴッホの最晩年の数年間、弟のテオ以外には味方になってくれる人物はほとんどいなく、ただでさえ繊細な精神が、自分の耳を切り落とすまでに病んでいく様子が描かれていく。それにしても子供は残酷だ。まともに相手をすると親たちまでが敵に回る。
ひとよ ― 2019年11月12日
雨の降るタクシー会社の駐車場、家族に暴力をふるう夫を轢き殺した母親。自宅兼事務所に戻った彼女はおにぎりを食べながら傷だらけの三人兄妹に父親を殺害したことを告げ「十五年後に帰ってくる」と言い残し、自首するのであった。
長男、次男、長女、子供達の性格がきっちりと描写されていて、母親や事件に対する向き合い方の違いが見所になっています。現実に十五年が経過したある日、母親は家に帰ってきます。家族、会社の社員、誰も追い出そうとはしません。冷えているようでも、家族親族の繋がりが断ち切れないのは、母親の殺人の動機によるものであります。
同じ犯罪を描いた映画でも、ひたすらに重苦しい「楽園」に比べると、救いがある話でした。
予告編で白石監督の「最高傑作」とか言っていました。本人言かどうかわかりませんが、そんな話はあまりしないほうが賢明です。私は「凪待ち」の方がいいと思いますし。
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