男はつらいよ 翔んでる寅次郎(4Kデジタル修復版)2020年08月30日

寅さん二十本目。第二十三作、昭和五十四年の公開。
北海道の旅の途中で男に襲われかかった若い女、ひとみ(桃井かおり)を助ける寅さん。それがきっかけで一緒に旅をするようになり、旅館で彼女の身の上話を聞く。ひとみは田園調布のお嬢さんで、親が決めた結婚式が近づいているのだが、どうしても気分が乗らず、憂さ晴らしのような感じで北海道まで一人で来ていたのだった。東京田園調布が東京田園地帯と聞こえる寅さん、彼女は農家の娘さんだと勘違いする。
中盤でひとみが結婚式を挙げるホテルはニューオータニです。特徴のある丸い展望台が麦わら帽子に見え「人間の証明」で刺された黒人青年が最後にたどり着いた場所です。一作目でさくらがお見合いをしたのもここだったような気がします。お色直しの途中でひとみはドレス姿のまま逃げ出してタクシーに乗り込み、とらやに寅さんを訪ねてやって来てしまうのだった。
後半でひとみに逃げられた新郎の邦夫(布施明)が柴又までやってくる。前半部では全く登場しなかったので、どのような人物なのか全然わからなかったのだが、どうやら本気でひとみに惚れているらしい。いつも女に振られている寅さんは彼に同情し、励まそうと飲みに誘うのだった。
最後にはひとみの気持ちがひっくり返り、邦夫との結婚式がある。今度は柴又の旅館である。前のところがニューオータニだったから狭く感じるが、肝心なのは新郎新婦の幸せです。ここは博とさくらの結婚式と同じ場所なのかな。
失恋すると旅に出るのが寅さんの定番なのですが、今回は紋付袴でマドンナの仲人役を務めるという珍しいシーンを見ることができます。

男はつらいよ 寅次郎春の夢(4Kデジタル修復版)2020年08月30日

寅さん二十一本目。第二十四作、昭和五十四年の公開。
帝釈天の前で困った様子の長身の外国人がいた。外国語がわからない御前様は、さくらならば言葉がわかるのではないかと思い、とらやに彼を連れてくる。残念ながらさくらにも外国語はできないのだった。しかし偶然居合わせた満男の英語教室の先生の母親(ややこしいですな)は英語ができ、彼(マイケル.ジョーダン)が旅館を探していることを知る。
米国(アリゾナ州)からビタミン剤の売り込みに来日したマイケルさんは思ったように売れず、物価の高い日本ではまともなホテルに宿泊する金がなく、下町にまで彷徨って来たのだった。事情を知った御前様から「日米親善のため」にと頼まれてとらやの人々は、彼を二階に泊めることにするのだった。「日本は過酷だが、とらやは居心地がいい。救われた」というような(英語での)マイケルさんの言葉がありますが、それはそのまんま観客である私たちの感想なのだ。
国民性なのか、何か世話をするたびに「サンキュー」と言ってくれるマイケルさんをおばちゃんはいたく気に入り、もっといてくれと思うようになります。同じようにマメに自分の面倒を見てくれるさくらにマイケルさんは惚れてしまうのであった。
マイケルさんの行動は寅さんの生き写しのようでもありますが、言葉の通じない日本で四苦八苦している姿は痛々しく、辛いものがあります。結局、商売はうまくいかず彼は帰国するのです。
最後は寅さんとマイケルさんが一緒にとらやを後にします。出発する上野には、京成と国鉄の駅があります。帰国するマイケルさんは京成、旅に出る寅さんは国鉄です。寅さんは自分のお守りをマイケルさんに「これを持っていると美人の嫁さんと結婚できる」と餞別に渡します。横断歩道の向こうから「これを持っていたあんたは何で独身なんだ?」と叫ぶマイケルさん、別れです。
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