休日2020年06月07日

県境を越えた移動は自粛の対象になっている昨今なのだが、身内が入院しているという理由でわりと頻繁に帰省している私である。病院ではコロナ対策のために患者との面会は禁止されている。着替えや差し入れをするときは一階の受付で担当の看護婦さんを呼び出して荷物を預けるという対策が行われているのだった。朝起きて食パンを焼いて食べコーヒーを飲み、犬のタロウを散歩に連れていって、納屋から自転車を引っ張り出し、麦わら帽子を被って前かごに着替えと差し入れを入れ、中学生時代の通学路をペダルを漕ぎながら走行し、港にほど近い市の中心部に行って生協で500ミリのペットボトルの水とお茶と花もを買った。病院は生協の隣である。荷物を渡して用事を終え、また自転車のペダルを漕ぐ。海沿いの道の駅に寄り、丸亀製麺で冷やしとろろ醤油うどんを食う。施設内で頼まれていた買い物をする。ホームセンターで20メートルのホースと結束バンド、マックスバリューで鳥の胸肉と食パンを買った。またペダルを漕いで家に帰り、自転車をしまって服を脱ぐ。動悸が上がって汗だらけである。部屋の冷房を入れて座り込んだ。
本を読む。眠れる女と狂卓の騎士。

男はつらいよ(4Kデジタル修復版)2020年06月13日

昨年はシリーズ開始から五十周年だったとか。TOHOシネマズでデジタル修復版の再公開がされている。私自身は一月の「お帰り 寅さん」に続いてシリーズ二本目の鑑賞である。
1969年の第1作「男はつらいよ」、007で言うならば「ドクター.ノオ」である。
寅さんがまだ若く活きがよく比較的痩身で、ある意味暴力的でもある。妹の縁談をぶっ壊し、とらやのおいちゃんとはつかみ合いの喧嘩をするし、舎弟の登は張り飛ばす。劇中にヤクザ者と言う言葉があるが、本当にその通りである。私が抱いている寅さんの印象とは少しばかり違ったのだった。当時の渥美清さんは今の私よりも若く、昭和四十年代半ばの日本。現代からすればあり得ないような風俗も目立つ。妹のさくらは結婚前で都内の電子計算機の会社でキーパンチャーをしている。マドンナをつとめる御前様の娘さんも二十代の女優さんである。
寅さんは失恋をしてとらやを去って旅に出る。ここらへんは物語の雛形どおりなのかな。
令和元年の第50作を見た後に昭和四十四年の第1作。文字通り五十年の時間差は大きいのだった。矢切の渡しはまだあるそうですね。代金は三十円ではないでしょうが。

男はつらいよ 柴又慕情(4Kデジタル修復版)2020年06月16日

寅さん三本目。今頃この映画にハマった私である。
冒頭の富士山(松竹映画のマーク)、本編前のおまけエピソード、タイトルと主題歌、本部施設(とらや)でメインキャストとの面会、任務地(日本全国)への赴任、寅さんガール(マドンナ)との出会い、再び葛飾柴又に戻って話が展開し、失恋をしてまた旅に出る、というパターン。
これは間違いなく日本の007ジェームズ.ボンド映画なのだ。リアルタイムでやっていた時には、わたしゃこの映画の魅力が全然わからなくて、いっぺんも見たことがなかったのである。
今回は金沢で出会った若い女性たち三人組と意気投合した寅さんがその中の一人、歌子(吉永小百合)に恋をするという話だった。

男はつらいよ 寅次郎恋やつれ (4Kデジタル修復版)2020年06月19日

寅さん四本目。最新作をほったらかして寅さんばかり見ている私である。
三日前に見た「柴又慕情」の続編で島根の津和野を訪れた寅さんが偶然に歌子(吉永小百合)と再会をする。前回のラストで幸せな結婚をしたはずの歌子だったがわずか二年の間に陶芸家の夫と死に別れていたという意外な展開である。ハードな運命に翻弄されるマドンナを元気付けようと必死になる寅さん。相手が惚れている女なのだからなおさらである。歌子を相手にテンパってしまう姿に思わず笑ってしまうのだった。父親役の小説家を演じるのは宮口精二で黒っぽい着流し姿で文机を前にしながら万年筆を握って原稿用紙に向き合う姿がカッコ良い。
歌子の実家では縁側から垣根越しに夏の花火が見える。「ビルが建つ前はもっとよく見えた」というセリフがあります。現代ならばタワーマンションの高層階からしか見えないのではなかろうか。
主なロケ地は島根県です。山と海の風景はどこにでもありそうですが、その地独自の地形や風土があり、とてもきれいに映されています。四十六年前の日本の景色です。このシリーズの見どころです。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草 (4Kデジタル修復版)2020年06月21日

寅さん五本目。「ねぇこの紫色の花、なんていうの?」「たんぽぽだよ!」
冒頭、息子にピアノを習わせたいというさくらの思いを勘違いした寅さんは玩具のピアノを買ってくる。そのことでとらやの家族と大喧嘩になってしまった寅さんは北海道へと旅立つのであった。
旅の途中、網走への夜汽車の中で一人涙ぐんでいる女の姿を見かけたのち、網走の町で古レコードを売っていると、声をかけてきたのが、その女(リリー)だった。旅回りのテキ屋と歌手、なにやら境遇が似ている二人は意気投合するのだ。地道な仕事に就こうと決心した寅さんは開拓部落の牧場で酪農を営む家族の元で働こうとするのだが、わずか三日で熱を出してぶっ倒れてしまう。四時起きの重労働に耐えられなかったのだった。
先に見た光本幸子や吉永小百合とはかけ離れたイメージの浅丘ルリ子がマドンナ役ですが、最も出演作が多いのが彼女なので、寅さんとは一番相性が良かったんでしょうね。
この作品のラストでは寿司屋の大将と結婚して幸せになります。おかみさんとして新しい店を旦那と二人で切り盛りしているのです。その頃、寅さんは北海道で酪農一家を訪ね、また仕事を手伝おうとしています。
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